理事長就任のご挨拶
一般社団法人 日本看護管理学会理事長 武村雪絵

法人第4期上期(2023~2024年度)に引き続き、下期(2025年~2026年度)も一般社団法人日本看護管理学会 理事長を拝命いたしました。
本学会の会員は年々増加し、今年7月末には6,777人となりました。これは、困難な経営環境の中で、社会の大きな転換に対応し、高まる看護のニーズに応え、人々の幸せに貢献するために、「看護管理」の力がますます求められていることの表れと受け止めております。当学会の定款には、「この法人は、看護実践のあらゆる場における看護サービスの発展をめざして、看護サービスの組織的提供の仕組みを社会的諸要因との関係において学術的に追求し、もって人々の健康とQOLの向上に寄与することを目的とする」と記されています。理事長就任にあたり、改めてこの文言を胸に刻み、人々と社会に対する責任を自覚しながら学会活動に取り組んでまいります。
2025年は、いわゆる「2025年度問題」として、これまで多くの政策の基準年とされてきた節目の年です。地域包括ケアシステムの構築、地域医療構想、看護職員確保など、多くの取り組みが2025年を見据えて積み重ねられてきました。「未来」として語られていた2025年が「今」となった今、医療機能の分化や在宅医療・訪問看護の充実、チーム医療の推進など、医療・介護システムは着実に前進していると実感します。一方で、労働力人口の減少や人口構造の変化、物価高騰、グローバル化の進展など、医療・看護の現場に影響を与える新たな課題も顕在化しています。こうした変化に対応し、持続可能な医療・看護を築いていくために、今、新たな創造と挑戦が求められています。
時代がどのように変わろうとも、「自分らしく、幸せに生きたい」という願いはすべての人に共通する普遍的な価値です。それは患者だけでなく、医療・看護に従事する人々にとっても同じです。この価値を支えるために、看護管理学の果たす役割はますます大きくなっています。看護職の健康と幸福をどう守るか。多様な人材をどのように確保し、成長を支えていくか。テクノロジーの活用によって業務の質と効率をいかに高めるか。医療福祉施設・サービスの持続可能性をどう確保するか。そして、災害や感染症への備えをどう整えていくか。私たちの前には、挑戦しがいのある数多くの課題があります。それらはすべて、未来に向けた新しい創造への入り口であると考えています。
このたび、本学会では、2040年を視野にいれ、5年後の2030年に向けた将来構想を策定いたしました。今後はこの方針に沿って事業の充実に取り組み、会員の皆様および社会の期待に応え、日本看護管理学会としての責任を果たしてまいります。将来構想は当ホームページに掲載しておりますので、ぜひ率直なご意見とご協力を賜れれば幸いです。
また、2024年元旦に発生した能登半島地震を受け、被災会員の方々の会費を減免できるよう規則を改正いたしました。自然災害が増える中、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。ささやかな支援ではございますが、当制度をご利用いただければと存じます。
私自身、経験不足・力不足ではありますが、学会内外の皆さまからご指導・ご支援・ご鞭撻を賜りながら、共に様々な事業に取り組んでまいりたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
2025年10月
